男が見た夢_12
この世界の新生児は片目しか見えない。乾いた片目を掌に握りしめて生まれて来る。生後七日目の夜に誕生祝を行い、両親あるいは親類の誰かが自身の唾液で湿らせた片目をがらんどうの眼窩へ入れる。それからきっかり七日後に新生児は両目で世界を見るようになる。この生まれてからもらう片目、平生は持ち主の片目として機能する。それは唾液の与えた主が死ぬまで続く。もし唾液を与えた誰かが死ぬと片目は徐々に漆黒の玉となり、与えられた方は彼の命日から七日後に片方の視界を失う。
メンタルが強い人がやらない13のこと
- 自分を憐れむことで、時間を無駄にしない
- 自分の力を手放さない
- 変化をいとわない
- 自分がコントロールできないことにこだわらない
- あらゆる人を満足させようと考えない
- 想定内のリスクを恐れない
- 過去について、くよくよ考えない
- 同じミスを何度も繰り返さない
- 他人に成功に腹を立てない
- 一度の失敗であきらめない
- ひとりの時間を怖がらない
- この世界は自分に何かを与える義務がある、とは考えない
- すぐに結果を求めない
男が見た夢_11
鬼が絶命したことを見届けるまで、男は弓を鬼に向けて構えていた。息が絶えたことを確信すると、二十歩ほど後ろに下がり木を見上げて何事か言い始めていた。すると、木の上からひょろっと背の高い男が降りできた。降りて来た男は、弓を持った男に話しかける。
「若様、いかが致しましょう。」
「この先に、流れ者や鬼が作った集落がある。この鬼の帰りが無いことに気付かれる前にこの場を去ろう。」
彼らの話す言葉は異国のものだった。作造には、男たちの会話の声は聞こえはするが、その意味はさっぱり分からなかった。作造は、彼らの意図が分からない以上、彼らを頼るのは得策ではないと判断した。彼はかっぱらい業で培ってきた勘を頼りに、一目散に山を駆け下りていった。
「なかなかの健脚ですね。」駆け下りる作造の姿を見ながら背の高い男が言った。「女にしては、がつくがな。」そういうと、若と呼ばれた男は、作造の後を追いかけた。
先ほど鬼に追いかけられた時と同じように、作造は自分の脚が鈍っていることを再度感じた。どうにも上手く脚が持ち上がらない。越えられると思った茂みに脚を何度も捕られた。思うように進まない脚に苛立っていると、足音が後ろから追いかけて来た。みるみるうちに、足音は近づいてき、作造の横をひょいと影が横切った。作造の前に若い男が立ちはだかった。かっぱらいで鍛えた脚の見せ所と、作造は身をよじって男を避けるように一歩踏み出した。けれど、作造の腰はまたしても、若い男に捕らえられてしまった。両手で抱えるようにして、作造を持ち上げた若い男は、後ろからついてきたもう一人の男に声を掛けると、そのまま山を駆け下りていった。
老妓抄
やる気の出ないとき
そんなときは、何でもいいから苦労の種を見付けるんだね。苦労も
仕事であれ、男女の間柄であれ、混り気のない没頭した一途な姿を
私はそういうものを身近に見て、素直に死にたいと思う。
「何も急いだり、焦ったりすることはいらないから、仕事なり恋な
柚木は「そんな純粋なことは今どき出来もしなけりゃ、在るもので
老妓も笑って
「いつの時代だって、心懸けなきゃ滅多にないさ。だから、ゆっく
車が迎えに来て、老妓は出て行った。
年々にわが悲しみは深くして
いよよ華やぐいのちなりけり
人が部屋に物を飾るのは
人が部屋に物を飾るのは、
生活に彩りを添えるという意味もあるだろう。
もう一つには、自分という存在が生命が
愛されている、愛されていたことを覚えておくためではないだろうか。
世界に受け入れられることを、覚えておくためではないだろうか。
この日、この今という時を生きていることも
すでにその証なのではあるが、
人という不便な生き物はすぐにそれを忘れてしまうのである。
なので、繰り返し思い出す必要があるのではないか。
だから物を飾るのではでないだろうか。