男が見た夢_12

この世界の新生児は片目しか見えない。乾いた片目を掌に握りしめて生まれて来る。生後七日目の夜に誕生祝を行い、両親あるいは親類の誰かが自身の唾液で湿らせた片目をがらんどうの眼窩へ入れる。それからきっかり七日後に新生児は両目で世界を見るようになる。この生まれてからもらう片目、平生は持ち主の片目として機能する。それは唾液の与えた主が死ぬまで続く。もし唾液を与えた誰かが死ぬと片目は徐々に漆黒の玉となり、与えられた方は彼の命日から七日後に片方の視界を失う。