2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧
【あらすじ】 島全体での人口が100人である。一人子どもが生まれ101人になると、1か月以内に1人天に召される。近海を修める男神が争うごとが起きない様にそのような呪いを島にかけた。呪いは定期的にかけ直す必要がある。しかし男神は、女神たちと遊んでいる…
夜の月は沢山の星に囲まれて、たいそう楽しく暮らしています。噂話が大好きな赤い星が月に話しかけました。「お月さま、知ってるかしら?さそり座のアンタレスとこと座のベガが駆け落ちをしたそうよ。」「ええ!それは、一大事じゃないか。夏の大三角形はど…
【大筋】夜、月は星と話をしている昼、ぼんやりお昼寝をしているたまに夜通し眠ってしまい、昼間に眠くならず、起きていることがある。そのときはとても退屈。話し相手はワシ岩と流れる雲だけ。太陽はナルシスト、風は忙しく、海は無口ワシ岩に近づくと、ワ…
夜、月は沢山の星々に囲まれて、楽しく過ごしています。星々は噂話が大好きで、毎夜、月に話して聞かせます。近頃はベガとデネブの仲が良いとか、そのためアルタイルは機嫌が悪いとか。月は気に入りの椅子に座り、延々と続く星々の話に耳を傾けます。こうし…
錦太郎…兄弟に振り回される効次郎…兄嫁に追い出される。行商先の娘と所帯を持とうとする剛三郎…遊び相手がいなくなり、金物細工の修業を始める
錦太郎(きんたろう)20歳…四人兄弟の次男(上から二人目)妙な兄弟を2人もったせいで、悩みが尽きない。表には見せないが結構な苦労人。詩織(しおり)16歳…四人兄弟の次女(上から三人目)好きなものは、たまに錦太郎が買ってくる甘くて柔らかい求肥。引…
錦太郎は生まれながらの苦労人である。両親は次男である彼に多大な期待を寄せていた。そんな両親の熱視線は日々錦太郎に注がれている。彼はその視線をかいくぐり、毎日のようにガールハントのため街へ出て行く。毎日のように行われているこの狩りは、面子が…
新緑と青空
足裏からは地面に着いた感覚が、尻や背中からは座席に着いた感覚が失われた。目を閉じたままだったが、真っ暗な中にいるようだろうことは推測できた。尚の事、恐怖心が増す。「浮いてる?僕は浮いてるのか?」自問自答を繰り返しはしたが、確かめるために目…
いじわるな少女の表情に少し冷静に僕はメガネを外し、目頭を押さえた。慌てるな、冷静になれ、これは夢だ、これらは一切合財夢物語なんだ、僕はもう一度強く心の中で念じた。後ろから少女の声がした。「だから、夢じゃないってば」振り向くと、僕の二つ左後…
あれ、この子僕の前の席に座ってなかったか、少女の笑い声に正気を取り戻してきた僕は困惑し始めた。僕の困っている様子が面白いようで、少女はニタニタと笑っている。少女の様子にますます僕の正気は戻った。後ろを向くために曲げていた首を戻して前をみた…
僕はゆっくりと目を開ける。メガネのレンズに極彩色のインクが飛び散ったような有様で、僕の視界のほとんどは、赤や黄色、紫で占められている。一瞬その視界に怯んだ僕は、気持ちを落ち着かせるために、もう一度目を閉じて深呼吸をした。すると、果実のよう…
スクリーンにはカエルを飲み込んだ渦だけが残った。僕は呆然として、しばらく渦を巻いているスクリーンを見つめていた。すべての画像を取り込んだスクリーンは極彩色のマブール模様だ。 すると、渦が反対周りを始めた。目の錯角が、中心に向かっていた渦が、…
この映画は外したかな。登場人物の誰にも感情移入できずにいた僕は心の中で舌打ちした。インタビュアーの準備不足とバレリーナの協調性の無さが奏でる音を、僕は不協和音と受け取ったのだ。これが面白いと感じる人はいるのかね、と心の中で毒づきながら、途…
この少女が視界の隅に入った瞬間、僕は彼女を最上級の危険人物と判定した。女子高生は生物だ、大抵の暴言はなぜか許容される。そして、彼女たちは自分たちのそういった性質を熟知している。静かに映画に没頭したいと思う僕にとっては、危険きまわりない生き…
街の人口が百万人を超えると、コアな客層だけを相手に商売ができるらしい。僕が住む街にもそういった類の店がいくつかある。昔のヒッピーみたいな柄の服だけを置いている洋服屋、ファイヤーキングのようなビンテージものだけの食器屋。僕はこういう場所にい…
町に男が住んでいた。男は薬師を生業としていた。山へ入り、草花を摘み、刻んで煎じて薬をつくる。男はなかなかに口上が上手く、男の口車に乗せて薬はよく売れた。軽い病などたちどころに治ってしまうからだった。治った、治った、あそこの薬で治った、と町…
雲が湧く 海の上から 空の中から雲が湧く ぷかぷか ふわふわ雲が湧く不安の雲は ザーザー 雨を降らす慈愛の雲は しとしと 雨を降らすお天気雲は ぽとぽと 雨を降らす喜びの雲は しとしと 雨を降らす心の大地に 雲は 雨を降らす雨を浴びて心の大地に 芽が 生…
女神はある男の祖父に一目ぼれをした。(その人は男の祖父に当たる)三線を爪弾きながら謡う島唄が絶品で、女神はその声の虜になった。 惚れて、惚れて、惚れぬいた女神は、その島の海に長居をしてしまった。女神が長居をすると、海底の岩石は隆起し、そこに…
村人たちの話を聞いた後、男は領主一行が行き来したであろう道の方を見つめ、しばらく黙っていた。「このまま貧しい暮らしを続けて、母親のように早死にしてしまうよりは良かったのかもしれないな。」口の端を歪めて男は言った。 翌日、男の元に身なりの良い…
その年の春、娘は蕪や青菜の種撒きのことを考えながら、畑へ向かっていた。その途中で娘は、山へ猟に向かっている、馬に跨った島の領主の一行と出くわした。娘は道端へと下がり、粗末な着物を上手にさばきながら、膝を地面につけ深々と頭を下げた。 娘の美し…
だいじ だいじだよだいじ だからたくさん たべてたくさん わらってたくさん ないてたくさん ねむってたくさん おはなししあっておおきくなってねおぼえててねだいじ だいじだよ
灯の街灯 雨上がりの茜空に真白の月が昇る西の空に広がる黄金色の闇 厚い雲に隠され夕日は届かない取り残された水溜り その静かな水面を踏むつま先から伝わる波紋 囁くように水音が響く静かだった水面は乱れ 水中では砂粒が浮かんでは沈む東の空が紺色に染ま…
男とこの良妻との間には一人娘がいた。娘は口数こそ少ないものの、男や妻の仕事ををよく手伝った。さらにこの娘「娘の姿を見た鷺が、その麗しさに目を眩ませて、田んぼの中に落ちてしもうた」と村人の間でまことしやかに噂するほどの美人であった。よく働く…
村の外れ、小高い山の麓に男の家はあった。男は祖父の代からの小作農で裕福な暮らしとは無縁だった。けれど、男には宝物があったので、貧しい暮らしが苦ではなかった。 男の宝物は妻と一人娘であった。周囲に勧められるまま一度も会わずに迎えた妻は、大層よ…
芋虫列車 ヤンキーくんとまじめちゃんがおる。
走って、走って、走った。髪の毛を振り乱して、森の中を蛇行しながら走った。それを見ていた、いのししは笑う「今さらもう間に合わないよ」それを見ていた、鹿は涙を浮かべる「もう間に合わないよ」(いのししは森のスナックのママで、鹿はチーママだ。)ス…
丸が連なってできた電車が走っている。丸は淡色で柔らかいので、その列車は串団子のように見える。先頭の丸は、ふうううっと蒸気を上げている。丘の上の駅に立っているボクは、遠くに茂る森を見ていた。じいいっと目を凝らして見つめていると、三角の若い葉…
走ろう。走ろう。走ろう。間に合わなくなってしまう。生まれ育った町の道を駆け抜ける。速く。速く。速く。間に合わなくなってしまう。いつもは遠くから眺めるだけの丘を駆け抜ける。前に。前に。前に。間に合わなくなってしまう。膝を打ち付けてしまいそう…
急がなきゃ!やっと気づいたの!これをあの人に届けなきゃ!「もっと仲良くしておけばよかった…」そんな後悔は、今は脇に寄せて!あの電車よりも早く、早く…!(注)A45枚にわたり、意味不明なラクガキと一言が書いてあった。どんな物語を考えていたのか自分…