すずりは

春休み、すずりは退屈していました。すずりはまっすぐ商店街に住んでいて、お家は文房具屋さんです。文房具屋さんのお仕事は、おじいちゃんとお母さんがしていています。お父さんは町の会社に働きに行っています。すずりには、お姉ちゃんとお兄ちゃんがひとりずついます。もうすぐ高校生になる、ふみ姉ちゃんは文房具屋さんのお手伝いをしています。小学校に納める文具を仕分けする、大切なお仕事です。お仕事が忙しいので、ふみ姉ちゃんはすずりと遊ぶことができません。小学生のさだのり兄ちゃんは、毎日外へ遊びに行っています。すずりも一緒に行きたいのに、さだのり兄ちゃんは無理といいます。補助輪なしの自転車に乗れないから、無理なんだと言います。補助輪なしの自転車に乗る練習がしたいのですが、大人は皆口を揃えて、今は忙しいのだと言います。練習はまた今度しようね、と言ったきり、そのまた今度はなかなかやって来ません。なので、すずりはさだのり兄ちゃんとも遊ぶことができません。どうしても、お兄ちゃんと遊びたいすずりは、ある日朝ごはんの時に泣いてしないました。「泣いているの?」「どうしたの?」「お腹痛い?」「また、うそ泣きしよる。」皆が口々に言います。すずりはぶんぶんと頭を横に振りました。ふみおねいちゃんに二つ結びに束ねてもらった髪が頬に当たります。「だけん、ウソ泣きやって。」さだのりお兄ちゃんがもう一度言います。「さだ、あんたにきいてないやろう。」ふみ姉ちゃんがさだのり兄ちゃんをにらみます。大人が皆、自分の話を聞いている様子が伝わってきて、安心したすずりは言いました。「さだのりお兄ちゃんと遊びたい。」呼吸が整わないうちに話したのですずりの声は震えていました。「さだ、遊んでやんな。」「無理。すずり自転車の補助輪外れてないやん。マジ無理。」やりとりを聞いてお母さんが言いました。「自転車に乗らなくてもくじら公園には行けるやろう。近くなんやから。」「だけん、無理やって。」さだのりお兄ちゃんの返事を無視してお父さんがいいました。「定規、硯をクジラ公園へ連れてってやりなさい。」「え~?」「お兄ちゃんだろう、連れてってやんなさい。」「マジ~?」「さだ、おやつ買えるように、おじいちゃんがお小遣いをだしてやろう。」「マジ~!」「すずり、クジラ公園な!その後、ボートハウスでアイスな!」

幼稚園も春休みです。幼稚園によ

はたいくつで、たいくつで、
文房具屋さんの