ひとみなかみのしゅしょく_【メモ】

 【あらすじ】
 島全体での人口が100人である。一人子どもが生まれ101人になると、1か月以内に1人天に召される。近海を修める男神が争うごとが起きない様にそのような呪いを島にかけた。呪いは定期的にかけ直す必要がある。しかし男神は、女神たちと遊んでいる内に、呪いのことを忘れてしまう。
 そうしてある時、男女の双子が生まれた。102人目の子どもたちだった。彼らが生まれて、数か月経っても誰も亡くならなくなった。103人目が生まれても、104人目が生まれても、人口は減らなかった。そこから人々は、労働力として子どもを増やした。101人目の女の赤ん坊は「奇跡の子」と呼ばれ、男神に祈りを捧げる巫女とするため、10歳の時に、神殿と呼ぶには質素な岸壁の小屋に隔離された。(そこには70歳になる先代の巫女と40歳になる現在の巫女の二人がいた。巫女は30年に1度、村から一人選ばれることになっていた。
 女神たちが男神をめぐって争うようになった。互いに罵り合う女神たちを敬遠し、男神は自分の海に戻った。
 男神には命は光の輝きとして見えている。その光が島の中で増えていた。そこでようやく、男神は自分が人口調整を怠っていたことに気付いた。男神は輝きの弱い15人の命を一気に奪った。1週間の間に、15人の命が召されたのだ。
 命を奪われた者の中には、村長の一人息子もいた。その子は、村長が年老いてからで出来た子どもでとても可愛がられていた。村長と村民は激怒した。少女は「奇跡の子」ではなかったのか。彼らは掌を翻し「奇跡の子」を糾弾し、早々に「忌子」と通り名を変えた。そして、清めの儀式と称して岸壁の小屋は燃やされた。年老いた巫女たちは、近くの漁師小屋へ移され、17歳になっていた少女は男神への供物として海へ突き落された。
 その様子を女神と男神は眺めていた。女神たちに糾弾された男神は、仕方なしに、呪いを解くと共に少女を近海の女神とした。女神となった少女は近海に貼り付けられたまま、特に役目を与えられることもなかった。暇つぶしに、指で海をなぞり、渦潮をつくった。潮の流れが変わったせいで、村の生活は立ち行かなくなっていった。女神となった少女は「知らぬ存ぜぬ」といった風情で、毎日指で海をなぞった。 
 そうしてこの女神は、ある「罪びとの小舟」が渡ってくるまで、百年ほど渦潮をつくるだけの退屈な日々を過ごしていた。

 
 【島の人口構成】
 55歳以上 1人(70歳・元巫女の女性)
55~50歳 25人(村長、木こり50歳、他)
50~45歳 4人(元剣士の木こりの弟47歳、他)
45~40歳 5人(元剣士の木こりの弟の妻、巫女の女性、他)
40~35歳 2人(鍛冶屋37歳、無職37歳)
35~30歳 7人(村長の妻、鍛冶屋妻33歳、漁師の夫婦、他)
35~25歳 10人
25~20歳 9人
20~15歳 3人(鍛冶屋の息子16歳、村長の一人息子15歳、奇跡の子17歳)
15~10歳 10人(鍛冶屋の妹夫婦の子ども・14歳、他)
 10~5歳 21人(鍛冶屋の妹夫婦の子ども8歳、他)
5歳未満  26人

【島の3つの決まり】
①双子が生まれたら、一人は必ず巫女や神官にする。
一人は神様が人に託した神様の分身だと考えるから。巫女や神官にするのはより、目や耳が悪いもの。目や耳が悪い者は現世のことはよく見えず聞こえない、代わりに天上ののことがよく見え聞こえると考えられている。巫女や神官になる儀式は双子が6歳の誕生日を迎える直前に行う。
②島の人口は常に99人
本当は100人だが、巫女や神官は『人』の部類ではなく『神の使い』ので数に入れない。新しい巫女や神官が若く修業している間、神殿に2人の『神の使い』がいる際には、人口は98人になる。
③罪人は島流しにする。
人は人を裁かない。人を裁けるのは神様だけ。酒で酔わせた罪人を小舟にのせて複数人で沖に流されるように押す。数週間経つと小舟は帰ってくるが、罪人は消え、代わりに石が舟の中に置かれている。罪人の犯した罪によって石の色や形が変わる。神殿の祭壇にそなえると、煙のようにその石は消えてしまう。(本当は妖精たちが一口で食べてしまうので消える)。