2019-05-11から1日間の記事一覧

読めへんねんけども

虎杖(いたどり)たで科の多年生植物。茎は中空で約一・五メートルになる。若い茎は食用ともなり、すっぱい。夏、淡紅または白の小花を穂につける。根は漢方薬用。郁子(むべ)あけび科の常緑つる性植物。山野に生え、庭木にもする。五月ごろ、白色で紅紫色…

女神の気まぐれに、命を託す

世襲制の国で起きたクーデター。夜襲の隙をつき、王は幼い王子を連れて馬を走らせた。付き従うのは両手で足りる程までに減った従者たち。王子の命を長らえさせたいと、王は必至であった。父の懐に抱かれた少年は、馬上で父の羽織の裾を黙って握り占めていた…

高貴な生まれとはなんぞや

王は選ばれる、狩りがうまく、思考が明晰で、大らかな気性な男たちの中かから選ばれる。世襲制をとらないのは、最初の王に男児が生まれなかったからだ。最初の王は、国中の男子を王の屋敷に集めて、六芸を教え始めた。貴重な働き手である男児を独占する訳に…

舟を継ぐ

この島に生まれてしまったからには、漁師になるしかないのだ。男に生まれてしまったからには、漁師になるしかないのだ。誰もが皆、疑問を持つことなく、親の舟に乗り、漁を覚える。そして、いつしか年老いた両親の代わって舟を継ぎ、漁師になるのだ。

まる、さんかく、しかく三部作

まる、さんかく、しかく三部作タイトル覚書まる・ころころころさんかく・ぱらぱらぱらしかく・ぎゅうぎゅうぎゅう

独白

「どこにいたってあぶれる。」髪を伸ばしたままにした女は思った。揃えることのない前髪は、彼女の顔を覆うようにして垂さ下がっている。幕のような髪、その奥で彼女の目は真っ直ぐに前を見ている。寄せては返す波をじっと見つめ、口を開くことなく波音を聞…