【ソウサクのタネ】

男が見た夢_11

鬼が絶命したことを見届けるまで、男は弓を鬼に向けて構えていた。息が絶えたことを確信すると、二十歩ほど後ろに下がり木を見上げて何事か言い始めていた。すると、木の上からひょろっと背の高い男が降りできた。降りて来た男は、弓を持った男に話しかける…

ろくでもない日々

朝起きない、昼にのそのそ起きだして活動する。理由は、一日を短くしたいから。長い一日の中で、孤独を感じたくないから。考え事は、建設的でもなんでもない。振り返って後悔、先をみて心配。妄想に近い未来を描いては、心を慰める日々。何者かになりたくて…

椿の茂みの陰にて2

その晩、小太郎は丹念に彼女の姿を思い返した。繰り返し思い返す内に麦畑にいた女は、小太郎の頭の中で天女と見紛うほど美しい女性へと昇華されていった。小太郎は天女を嫁に貰い、毎日その姿を愛でる夢を幾晩も見るようになった。幾度も同じ夢を見るうちに…

椿の茂みの陰にて

小太郎は椿の茂み傍で隠れるように座っていた。実際、彼はその身を隠していた。椿の茂みの向こうには、青い屋根の一軒家があり、そこは彼の想い人が住んでいる。彼は彼女に見つからないように、体を丸めて茂みの中にいた。先日、小太郎は彼女に思いを伝えた…

廻る水

ハートの芽 雲がわく 海の上から 空の中から雲がわく ぷかぷか ぷかぷか 雲がわく雲が 雲がわく不安の雨を ざーざー 降らす喜びの雨が しとしと 濡らす心の大地に 魂の木に 雨が降る君が好きだよ 心の底から

男の見た夢_10【設定】

地図 三部族がいる北西・寒、湿 、 南西・暖、湿 、 東・温暖、乾中央部に神が住まうという平原「央」があるどの土地でも作物がとれるので、大きな戦にはならず、皆のんびりと共存していた。

男の見た夢_8【設定】

紋章 地形図 この島には十八の部族があった。小競り合いを繰り返しつつ、豊かな土地を分け合って十八の部族は共存していた。しかし、東方の一族の三代目の若き長は、白島よりもたらされた新たな武器を戦場に持ち込んだ。新たな武器を巧みに使い、瞬く間に十…

男の見た夢_7

常緑樹の林の作る涼やかな影に身を任せ、体の隅々まで水が行き届く心地よさに、作造は酔っていた。そのせいで、彼に近づいて来る気配に気づくのが一寸遅れた。気配に気づき振り返った時に目が合った。気配の正体は鬼だった。作造は、清水を汲みに来た鬼に出…

白雪姫と七福神_【覚書】

鏡よ、鏡よ、鏡さん、私の王子様はどこにいるの?あなたの王子様はここより、200Km程離れた小島におります。何をしている方なの?漁師にございます。しかも貧しい暮らしをしております。まあ、漁師なのね!しかも貧しいなんて。私、会いに行かなくちゃ!そし…

男の見た夢_5

酒をたらふく呑まされた作造は、浅い眠りの中にいた。彼は大海原の中に、一人小舟で放り出されたはずである。しかし、彼を取り巻く様に、四方八方から声聞こえた。「なんたる阿保だ。」「確かに阿保だな。どうしようもないな。」「だから言っただろう、こい…

男の見た夢_4

首尾よく作造を排した佐吉。早速次の日の朝早くまだ暗い内から、灯をもって例の滝へ出かけた。逸る気持ちを押えきれない佐吉は、前を向いて走る様に沢に沿って山を登っていく。佐吉の持っていた灯が、蛍のように左右に揺れた。灯の日が滝の傍で自然と消えた…

男の見た夢_3

どうしても黄金の石が欲しくなった佐吉は、三日三晩考え続けた末、ある噂を流し始めた。古戦場でかっぱらいをいている作造は、他人様の古女房もかっぱらうようになった、と。町の古道具屋の斜向かいにある薬問屋があり、ここの主人は行商のため家をよく空け…

男の見た夢_2

作造はまっすぐに滝壺の方へ潜っていった。夢の中で石仏が消えていった辺りには石がゴロゴロと転がっていた。近づいていくと、無論そこには石仏はなく、鈍く光る石があった。その石を一つ拾うと作造は水面に浮上した。水から顔を出し、石を見るとその石は太…

ひとみなかみのしゅしょく_【メモのメモ4】

鍛冶師と領主領主「上島も下島もすべて自分のものだ。乗っ取るから、武器作れ」鍛冶師「断る」領主「断る権利はない。武器を作れ」鍛冶師「絶対に断る」領主は鍛冶師の妻と娘(3~5歳)を人質にとって、武器を作るよう要求。武器ができたら、二人を開放する…

ひとみなかみのしゅしょく_【地図】

島の地図

ひとみなかみのしゅしょく_【メモ2】

★木こり・炭焼き職人(50歳)元は腕の立つ、名の知れた剣士で、偉い人の母の許嫁であった。器量の良さを見初められ許嫁は、本人たちの意思と関係なく召し上げられてしまった。そのことが引き金になり山にこもる様になり、最後は剣も家も捨てた。家督を弟へ譲…

お月さま旅に出る_【大筋】

【大筋】夜、月は星と話をしている昼、ぼんやりお昼寝をしているたまに夜通し眠ってしまい、昼間に眠くならず、起きていることがある。そのときはとても退屈。話し相手はワシ岩と流れる雲だけ。太陽はナルシスト、風は忙しく、海は無口ワシ岩に近づくと、ワ…

錦太郎の話_【展開案】

錦太郎…兄弟に振り回される効次郎…兄嫁に追い出される。行商先の娘と所帯を持とうとする剛三郎…遊び相手がいなくなり、金物細工の修業を始める

錦太郎の話【設定】

錦太郎(きんたろう)20歳…四人兄弟の次男(上から二人目)妙な兄弟を2人もったせいで、悩みが尽きない。表には見せないが結構な苦労人。詩織(しおり)16歳…四人兄弟の次女(上から三人目)好きなものは、たまに錦太郎が買ってくる甘くて柔らかい求肥。引…