2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧
キミは黄色く丸い灯となって ゆるゆると天に昇っていく地上に根を張るボクは キミの姿を見上げるしかできないゆっくりと時間をかけて キミは天頂に辿り着くキミの姿に向かって ボクは枝を伸ばそうかと思案してどうにもならないと 自嘲した後 キミの美しさを…
ボクの口からこぼれた葉に キミは労りの雫をかけた口元がまがった さみしい笑顔でもってボクの季節は巡る キミの季節とは異なる早さでボクから伸びる若枝に キミは励ましの雫をかけた鼻にかかった声を さみしい笑顔でもってボクの季節は巡る キミの季節とは…
ボクにとってキミは月のような存在だった夜になりさえすれば 見上げさえすれば いつもそこにいた小さな違和感も 些細な嘘も 見ないふり 気付かないそうやって 目を背け続けてボクは 自分の所在を見失ったキミはキミの所在を見失うことなく 過ごせていただろ…
日々の小さな違和感が降り積もっていく ボクとキミとの歩く道はどんなに腕を伸ばしても 届かないほどに離れてしまった愛していると囁き合い 互いに背を向けて眠る日々の小さな嘘が降り積もっていく ボクとキミとが見る世界はどんなに視界を広げても 重ならな…
パタパタと尾を振る
ある日、目が覚めたら由(ゆえ)少年は少女へと変じていた。それを気味悪く思った親戚は、山の奥の奥に住んでいる変わり者に嫁がせることにした。少年だった少女は、ひっそりと伯父に嫁いだ。伯父は、祖母が嫁いでくる前に産み、実家に置いてきた子どもだっ…
「向こう岸へ行きなさい」ある日、じいさんが俺に言った。向こう岸に着くまでに体が変じる。両親を早くに亡くし、片目となった俺をじいさんは気にかけていた。「向こう岸に着けば、体が変じる」「両目となるやもしれない」「鳥や石になって帰ってくるかもし…
対岸の島が霞んで見える。こちらから向こうの浜辺までは体力のある男ならば泳いで渡れるであろう距離である。けれども、それをするものはいない。東西に流れる強い潮のせいで、どんなに真っ直ぐに進もうとしても、あらぬ方へと流されていくからである。そん…
虎杖(いたどり)たで科の多年生植物。茎は中空で約一・五メートルになる。若い茎は食用ともなり、すっぱい。夏、淡紅または白の小花を穂につける。根は漢方薬用。郁子(むべ)あけび科の常緑つる性植物。山野に生え、庭木にもする。五月ごろ、白色で紅紫色…
世襲制の国で起きたクーデター。夜襲の隙をつき、王は幼い王子を連れて馬を走らせた。付き従うのは両手で足りる程までに減った従者たち。王子の命を長らえさせたいと、王は必至であった。父の懐に抱かれた少年は、馬上で父の羽織の裾を黙って握り占めていた…
王は選ばれる、狩りがうまく、思考が明晰で、大らかな気性な男たちの中かから選ばれる。世襲制をとらないのは、最初の王に男児が生まれなかったからだ。最初の王は、国中の男子を王の屋敷に集めて、六芸を教え始めた。貴重な働き手である男児を独占する訳に…
この島に生まれてしまったからには、漁師になるしかないのだ。男に生まれてしまったからには、漁師になるしかないのだ。誰もが皆、疑問を持つことなく、親の舟に乗り、漁を覚える。そして、いつしか年老いた両親の代わって舟を継ぎ、漁師になるのだ。
まる、さんかく、しかく三部作タイトル覚書まる・ころころころさんかく・ぱらぱらぱらしかく・ぎゅうぎゅうぎゅう
「どこにいたってあぶれる。」髪を伸ばしたままにした女は思った。揃えることのない前髪は、彼女の顔を覆うようにして垂さ下がっている。幕のような髪、その奥で彼女の目は真っ直ぐに前を見ている。寄せては返す波をじっと見つめ、口を開くことなく波音を聞…
いつなにを描いたかもわからん1 とりあえず、ゴー!なんやと思われる。
紫雲の隙間に 薄紅が滲んで傍らの残り葉は 薄白を受ける土に支えられた子は 日を背に立ち上がり苔光る山門の向こうに 来し方の連なるのを見た道々茂る花の色は 父母(亡母)の情けであろうか風を与えられた子は 頭をもたげて目を開き草光る山道のそこここに 行…
子どもは片目を手にもって生まれる。目は石化している。この石のような丸い目玉を他の人の体液と共に、子どもの眼窩に入れる両目が見えるようになるしかし、目を閉じている時や、目の持ち主の環状が高ぶっているときは、持ち主が見ている光景が、自信の見て…
「憂き事の なほこの上に積もれかし 限りある身の 力試さん」*知恵袋より*「辛いことがもっと沢山身の上に降りかかってこい。自分の力の限界を試してやる」こんな内容です。熊沢蕃山は備前岡山藩で数々の改革を行なったが、守旧派の反対に合い退藩、その後…